この動画では、政府が検討している老齢年金75まで繰下げ可能にすることについて、考察しています。

老齢年金を75歳まで繰下げすることに、意味があるのか、具体的な金額で説明していきます。

老齢年金の繰下げとは

まず、繰下げとはどのような制度かについて、説明します。

老齢年金の繰下げとは、65歳から老齢年金をもらわずに、もらうのを遅らせて増えた年金を、将来もらうという制度です。

少なくとも66まで、1年間は遅らせる必要があり、66歳以降は1ヶ月単位で、最大70まで遅らせることができます。

もらうのを1ヶ月遅らせるごとに、0.7ずつ、もらえる年金額が増えていきます。

政府が検討しているのは、現在は最大70までしか繰下げできないのを、最大75まで繰下げできるようにしようとしています。

70歳までの繰下げと75歳までの繰下げした場合は、実際どのぐらい年金額が変わるのか

実際、現状の70歳までの繰下げた場合と、75歳までの繰下げした場合とでは、どれぐらい年金額が変わるのでしょうか。

繰下げして実際に増える年金額と損益分岐点

※満額の老齢基礎年金のみをもらう場合(2019年度額)

現行の70歳までの繰下げ制度だと、次の表のようになります。

この表の見方について、説明します

例えば66歳まで繰下げをした場合は、65歳からもらった場合と比べて、8.4%もらえる年金額が増え、77歳11月が損益分岐点となります。

つまり、77歳11月到達前に死亡すると損をし、77歳11月より長生きすれば得をすることになります。

75歳まで繰下げ可能となった場合は、次の表のようになります。

75歳まで繰下げをした場合、損益分岐点が86歳11月とかなり高齢となってしまうため、平均余命的に損をする可能性が高くなってきます。

これは厚生労働省が発表している平均余命の表です。(平成30年版)

この平均余命の表によると、65まで生きた人は、男性19.70年間(84.70歳)女性24.50年(89.50歳)、平均的に生きるそうです。

男性が65歳の平均余命(84.70歳)まで生きた場合満額の老齢基礎年金を65歳からもらった場合と、75歳からもらった場合の年金受給累計額の差は

  • 65歳からもらった場合

   780,100円×(84.70歳-65歳)=15,367,970円

  • 75歳まで繰下げた場合

  1,435,384円×(84.70歳-75歳)=13,923,224円

  • 差額

   13,923,224円15,367,970円△1,444,746円

男性の場合は、75歳まで繰下げした場合、平均余命まで生きたとしても、約144万円も損することになります。

では、女性の場合はどうかというと

女性が65歳の平均余命(89.50歳)まで生きた場合老齢基礎年金を65歳からもらった場合と、75歳からもらった場合の年金受給累計額の差は

  • 65歳からもらった場合

   780,100円×(89.50歳-65歳)=19,112,450円

  • 75歳まで繰下げた場合

  1,435,384円×(89.50歳-75歳)=20,813,068円

  • 差額

   20,813,068円19,112,450円1,700,618円

女性の場合は、75歳まで繰下げした場合、平均余命まで生きたとしたら、170万円も得することになります。

男性と比べて、長生きする女性ならば、75歳まで繰下げしてもいいかもしれません。

男性の場合は、平均余命的に75歳まで繰下げすると、損する可能性が高いと言えるでしょう。

注 意
繰下げを検討する場合は、年金事務所に繰下げした場合の老齢年金見込み額を試算して、具体的な金額と、損益分岐点を確認しておきましょう。

繰下げした場合の注意点は、加算金の有無、将来遺族年金がもらえるようになるのか、支援給付金の有無など、人によって違いますので、年金事務所で個別に確認しましょう。

75歳まで繰下げできるようになった場合の一番の問題点

  • 現状の繰下げ制度では、65歳から老齢年金をもらわずに、繰下げしていたとしても、やっぱり繰下げをやめて、普通に65歳から老齢年金をもらうことが選択可能です。
  • 繰下げしている人が死亡した場合も、本来65歳からもらえる金額を、65歳まで遡って、遺族がもらうことができます。

75歳まで繰下げ可能になった場合、問題になるのは、年金の時効が5だということです。

繰下げが70歳までの場合は、時効の5年を超えることはありません。(手続きが遅れた場合は、時効の5年を超えてしまう場合があります。)

例えば、繰下げしている人が70で繰下げを取消しした場合、65歳まで遡って老齢年金がもらえます。

繰下げした人が死亡した場合も、遺族は65歳まで遡って、未支給年金がもらえます。

繰下げが75歳まで可能になった場合、70歳以降に繰下げを取消そうと思っても、時効5年分しか遡れないので、65歳まで遡って、もらうことができなくなってしまします。

繰下げしていた人が70歳以降に、死亡した場合も同様に、もらっていなかった年金を遺族が65歳まで、遡ってもらうことができなくなってしまいます。

例えば、繰下げしている人が74で繰下げを取消しした場合、取消した時点から、過去5年分しか、遡ってもらえないので、4年分してしまいます。

死亡した場合も、同様です。

 

繰下げが70歳までの場合と、70歳以降も繰下げ可能になった場合の大きな違いは、繰下げを取消しした場合や、繰下げしている人が死亡した場合に、時効5年を超える年金がもらえなくなってしまう点です。

繰下げしている人は、時効5年を超えて遡ってもらえるような特例措置が無い場合は、70歳以降の繰下げは慎重にした方が、良いと思います。

政府は年金をもらえるようになると、退職してしまう人がいるので、年金支給開始年齢の選択肢を広げることで、長く働いてもらいたいという意向があるようです。

もともと、老齢年金を繰下げする人は約1~2%ぐらいしかいないので、わざわざ検討する意味があるのか疑問です。もっと、他に検討することあるような気がします。

老齢年金の支給開始年齢は65歳のまま変更しない方針

今回の報道で、老齢年金の支給開始年齢が75歳からになると、勘違いしている人がいるみたいですが、老齢年金の支給開始年齢は、65歳のままで変更しない方針みたいなので、ひとまず安心ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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