こんにちは、ラテーアです。

交通事故などにより発症した脳脊髄液漏出症で、障害年金を請求する場合での初診日の取り扱いの仕方について、令和元年12月に厚生労働省より日本年金機構に対して、指示がありました。

この記事では、その初診日の取り扱いの仕方について、詳しく説明します。

 

 

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脳脊髄液漏出症(脳脊髄液減少症)とは

脳脊髄液漏出症とは、交通事故や日常生活でのケガなどにより硬膜が損傷して、脳や脊髄の周りにある脳脊髄液が漏れ出て、頭痛などの症状を引き起こす病気です。

 

傷病名は脳脊髄液漏出症ではなく、脳脊髄液減少症や低随液圧症という診断名となる可能性もあります。

 

 

頭痛以外の症状としては、次のようなものがあります。

全身の倦怠感

視力異常(複視や視野異常など)

聴覚異常(難聴や耳鳴りなど)

めまい

  など、多彩な症状が現れることがあります。

 

 

脳脊髄液漏出症の初診日の取り扱いについて

本来、障害の原因となった病気やケガで初めて医師の診察を受けた日が、初診日となります。

 

しかし、脳脊髄液漏出症の場合は、障害の原因となった交通事故などで病院に救急搬送された日が初診日とは認めてもらえず、脳脊髄液漏出症と確定診断された日が初診日として取り扱われる事例が、増えていました。

 

脳脊髄液漏出症と確定診断された日が初診日にされてしまうと、交通事故などで救急搬送された日を初診日とするより、障害年金の支給開始時期が遅くなってしまいます。

 

障害年金は、原則、初診日より1年6ヶ月経過した時に、請求できるようになります。

初診日より、1年6ヶ月経過した日を認定日と呼び、  認 定日時点で請求することを、認定日請求といいます。

 

 

認定日時点での症状が、障害年金がもらえるような障害の状態にあれば、認定日のある月の翌月分から、障害年金がもらえます。

上の図の場合は2019年11月分から、障害年金がもらえます。

 

そのため、交通事故発生日を初診日とする場合と、脳脊髄液漏出症と確定診断された日を初診日とする場合では、障害年金の支給開始される時点が変わってきます。

 

交通事故を初診日として請求手続きする場合

 

確定診断された日を初診日として請求手続きする場合

確定診断された日を初診日とする場合は、確定診断されるのが遅くなるほど、障害年金の支給開始が遅くなってしまいます。

 

脳脊髄液漏出症は専門医が少なく、脳外科の専門医でも診断が難しいため、別の病気や加齢による症状と判断されてしまうことが、少なくありません。

 

そのため、脳脊髄液漏出症と確定診断を受けるのが、交通事故などの発生日から、かなり後になってしまうことがあります。

 

脳脊髄液漏出症と診断されるのに、数年かかる場合も多いので、障害年金の支給開始が遅くなることにより、経済的に苦しい状況に追い込まれる人がいることが、問題となっていました。

 

この問題に対して、厚生労働省は令和元年12月に、脳脊髄液漏出症の初診日の取り扱いの仕方について、明確な取り扱い基準を日本年金機構に示しました。

 

 

交通事故などを初診日とする申立て方法

では、どのような内容が厚生労働省から、日本年金機構に示されたかというと、次のような内容が文章で事務連絡されました。

 

脳脊髄液漏出症の初診日については、障害年金請求者から提出された提出書類(診断書、受診状況等証明書、病歴・就労状況等申立書、交通事故証明書、第三者行為事故状況届など)を審査して、請求者が申し立てた初診日における診療と脳脊髄液漏出症との関連性がある場合は、請求者が申し立てた初診日を認めるという取り扱いをすること。

 

わかりずらいので、図で説明すると

ようは、交通事故などの発生日を初診日として、障害年金の請求手続きをして、提出書類などを日本年金機構が審査して、交通事故などの発生日が初診日と認められるかどうかです。

 

 

交通事故などを初診日とする申立て方法

では、どうやって、交通事故などの発生日を初診日として、申し立てをすればいいのかというと

 

交通事故など、請求者が脳脊髄液漏出症の原因を提出書類などで、発生年月日を証明できる事象であることを申立てしていること。

(ようは、交通事故などを初診日として、障害年金請求書類を作成するだけです。)

 

かつ

 

次の①~④まで、すべてに該当する場合、またはそれに準ずると認められる場合は、請求者が申し立てした日を脳脊髄液漏出症の初診日として、取り扱ってもらえます。

 

確定診断を行った病院が作成した診断書において、診断書の『傷病の原因又は誘因』として、交通事故などの事象が記入されており、申立初診日が脳脊髄液漏出症で『初めて医師の診療を受けた日として、記入されていること。

確定診断に基づき、別の病院が作成した診断書も 含みます。

 

証明書や届出書などで、交通事故発生日などの脳脊髄液漏出症の原因となる可能性がある事象の年月日が、確認できること。

交通事故証明書

第三者行為事故状況届

交通事故の直後に受診した病院が作成した受診状 況等証明書

  などで、交通事故などの発生年月日が確認できればOK。

 

申立する初診日に行った病院が作成した診断書、受診状況等証明書などで、申立初診日における病院での受診が確認できること。

初診日を確認する書類が作成できない場合は、受診状況等証明書を添付できない場合と同じように、第三者証明や参考資料などで、初診日の審査が行われます。

 

発症直後に確定診断が行われなかった理由に関する申立てが行われていること

提出書類などによって、脳脊髄液漏出症に関して  病院に行っていなかった期間が確認できる場合は、  病院に行っていなかった期間に脳脊髄液漏出症の症状が継続していることの申立てが行われていること。

 

具体的な提出書類の作成方法について
具体的な提出書類の作成方法については、傷病の原因、通院歴、書類を作成する医療機関などによって違ってくるので、年金事務所で個別に確認をしましょう。
次のようなことを、個別に年金事務所で確認しながら、提出書類を作成しましょう。

受診状況等証明書や診断書を作成する注意点はありますか?

交通事故などの発生日は、どの書類のどこに記入 してもらったらいいのか?

病歴申立書はどのように記入すればいいのか?

請求書に添付する書類は、何が必要なのか?

 など、書類の作成についてわからないことがあったら、窓口で具体的に聞きましょう。

 

 

交通事故など発生日が初診日とならないケース

先ほどの要件を満たせば、交通事故などの発生日を初診日と認めるのが適当でない場合を除いて、交通事故などの発生日を初診日として、取り扱うことになります。

 

では、交通事故などの発生日を初診日と認めるのが適当でない場合とは、どんなケースがあるかというと、厚生労働省は次のようなケースがあると、例をあげています。

 

提出書類などの内容から、脳脊髄液漏出症の発症原因が、申立てた交通事故など以外の事象の可能性が高いと、認められる場合。

 

 

6ヶ月を超える期間、脳脊髄液漏出症に関連する病 院への受診が無かったと、認められる場合。

申立て初診日が、脳脊髄液漏出症の発生原因となり得る事象の年月日から、6ヶ月を超える場合も含まれます。

6ヶ月を超える期間、脳脊髄液漏出症で病院に受診していない場合は、絶対に交通事故などの発生日を初診日と認めてもらえなくなるわけではないのですが、こういった基準があるので、6ヶ月に1回は病院で受診することをおすすめします。

 

 

申立て初診日から、脳脊髄液漏出症と確定診断された日までの間に、脳脊髄液漏出症の症状が継続していないことが、明らかに認められる場合。

 

これらのケースに該当したとしても、交通事故など発生日が初診日と認めてもらえないとは限りません。個別に請求者ごとの事情に応じて、提出書類の内容などを総合的に考慮して、初診日が判断されます。

 

 

すでに確定診断日を初診日として障害年金をもらっている場合

すでに脳脊髄液漏出症で障害年金をもらっている人で、確定診断された日を初診日としている場合は、交通事故などの発生日を初診日として障害年金を再度請求することによって、支給開始時点が前倒しになり、遡って障害年金がもらえる可能性があります。

 

認定日請求できること、提出書類が作成できること、時効の5年を経過していないことなどの条件があるため、必ず障害年金支給開始時点が前倒しになり、遡ってもらえるとは限りません。

 

再度、障害年金を請求手続きする必要もあるため、お金や労力もかかります。

 

そのため、交通事故などの発生日を初診日として、請求しなおした場合は、

支給開始が早まる可能性があるのか?

支給開始が早まる場合は、どれぐらい遡れるのか?

などを、年金事務所で確認して、再度請求手続きをするか、判断しましょう。

 

最後に

最後に、このブログの記事だけで判断するのではなく、必ず一度は年金事務所で電話などで確認をお願いします。令和元年12月からの取り扱いの変更のため、まだ事例があまりありませんので、個別に確認してくださるようにお願いします。

 

脳脊髄液漏出症で障害年金を請求した人が、交通事故などの発生日を初診日と認めてもらえず、年金の支給開始が遅くなり経済的に苦しい状況になってしまうケースがあったので、今回の初診日の取り扱い変更によって、そのような方たちが救われるといいですね。

脳脊髄脊髄液漏出症の初診日の取り扱いについて、行政機関などに対して要望書を出したり、行動してくださった患者さんの団体や政治家、社会保険労務士さんたちに感謝です。

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