こんにちは、ラテーアです!
この記事では、障害年金を請求する際に必要となる傷病名の特定の仕方について、説明します。
障害年金を請求する傷病名は、年金事務所に一番最初に相談に行く前に、調べておく必要があります。
最初に相談に行く前に、きちんと調べておかないと、次のようなデメリットがあります。
●年金事務所に行く回数が増える。
障害年金を請求する傷病名がわからないままで、年金事務所に相談に来る人がいるのですが、障害年金の認定対象とならない傷病があるため、傷病名を調べてから、再来所するように言われることがあります。(つまり、年金事務所への訪問回数が1回増える可能性がある。)
●初診日が変更になり、余計な労力やお金を使うことになってしまう可能性がる。
障害の原因となった傷病をきちんと特定できていないと、年金事務所に間違いを指摘されて、初診日が変更となることがあります。請求手続きがある程度進んでから、初診日が間違っていたことがわかった場合は、診断書などの書類を作成しなおしになったりして、無駄な労力やお金が使ってしまう可能性があります。
障害年金を請求する傷病以外でも、病院に通院している人や通院していたことがある人は、初診日が変更になる可能性があるため、この記事を最後まで読んで、傷病名の特定の仕方を確認しておくことを、オススメします。
YouTubeでは、この記事よりもくわしく障害年金請求手続きの流れについて、説明をしていますので、よかったら上の画像をクリックして、動画をご覧ください。
目次
傷病名とは
まず、最初に傷病って、一般的にはあまり使わない言葉なので、意味を説明します。
傷病とは
①病気
②ケガ
③病気やケガが原因でなった病気
のことです。
障害年金の請求手続きでは、障害年金を請求する傷病名だけではなく、障害の原因となった傷病名も特定する必要があります。
例えば、慢性腎不全で人工透析を受けている人が障害年金を請求する場合は、慢性腎不全になる原因となった傷病が何かを、調べる必要があります。
なぜ、障害の原因となった傷病をきちんと特定しないといけないかというと・・・
初診日は、障害の原因となった病気やケガで、初めて医師または歯科医師に診療を、受けた日のことだからです。
障害年金を請求する傷病の初診日より前に、障害の原因となった傷病で病院に通院していた場合は、障害の原因となった傷病で初めて医師の診療を受けた日が、初診日となります。
では、具体的に、どうやって傷病名を特定するのかを、説明します。
障害年金を請求する傷病名の特定の仕方
障害年金を請求する病気やケガだけでしか、通院したことがない場合は、傷病名の特定は難しくありません。
障害年金を請求する傷病で、通院している病院のお医者さんに、次の2つの傷病名を聞けば終わりです。
これらの傷病名は、診断書を書いてもらうことになる病院で、診断書に記入する傷病名が何になるのかを、確認しましょう。
聞いたら、忘れないように、きちんとメモをしておきましょう。
障害年金を請求する傷病だけでしか、病院に通院していない場合は、こんな感じでかんたんに特定できます。
問題は、複数の病気やケガで病院に通院している場合や、過去に別の傷病で通院していたことがある場合です。
障害年金を請求する病気で初めて医師の診療を受けた日より前に、別の病気やケガで通院していた場合、前の病気やケガと障害年金を請求する病気に相当因果関係があるかを、調べる必要があります。
なぜ、前に発病した病気と、障害年金を請求する後から発病した病気の相当因果関係があるかを調べないといけないかというと・・・
前に発病した病気やケガと、後から発病した病気が相当因果関係があると認められると、前に発病した病気やケガと、後から発病した病気は同じ傷病として、取り扱われるからです。
前に発病した病気やケガと、後から発病した病気が同じ傷病として取り扱われると、前に発病した病気やケガで初めて医師の診療を受けた日が、初診日となります。
例えば、糖尿病性網膜症で障害年金を請求する場合・・・
糖尿病性網膜症になった原因は糖尿病なので、網膜症で初めて眼科の診療を受けた令和元年7月15日が初診日とはならずに、糖尿病の診療で初めて内科に行った平成30年10月1日が、初診日となります。
障害年金請求手続きにおいて、初診日の特定がとても重要となってきます。
障害の原因となった傷病をきちんと特定しないと、初診日を特定することができません。
初診日が特定できないと、障害年金請求手続きを進めていくことができないので、まずは障害の原因となった傷病名の特定が重要となってきます。
そのため、障害年金を請求する傷病より前に、別の傷病で病院に行ったことがある場合は、必ず、前後の傷病に相当因果関係があるか、確認をしておきましょう。(もちろん、明らかに関係がない傷病の場合は、わざわざ確認する必要はありません。)
相当因果関係があるとは、どのような場合か
どういった場合に、前の病気やケガと後の病気が、相当因果関係あると、取り扱われるかというと・・・
前の病気やケガがなかったら、後の病気にならなかったであろうと認められる場合は、相当因果関係があるとして、取り扱われます。
つまり、前に発病した病気やケガが原因で、後の病気が発病した場合は、相当因果関係があるということです。
具体的な相当因果関係の有無の確認方法
まず、前提として、前後の傷病の相当因果関係を確認しないといけないのは、後から発病したのが病気の場合だけです。
後から発病したのがケガの場合は、前の病気やケガと相当因果関係有りと扱われることは、通常ありません。
つまり、ケガで障害年金を請求する場合は、別の傷病での通院歴があったとしても、前後の傷病の相当因果関係を調べる必要がありません。
前後の傷病の相当因果関係があるか、確認をしないといけないのは、病気で障害年金を請求する場合だけです。
前後の傷病の相当因果関係の有無の確認方法は、相当因果関係があるかを、診断書を書いてもらうお医者さんに聞くだけですが、次に説明する手順通りに確認をしたら、効率がいいです。
障害年金を請求する時の傷病名を特定する手順
具体的な障害年金を請求する際の傷病名の特定の手順について、説明します。
障害年金の原因となった傷病名を特定する手順は、次のとおりです。
①最初に障害年金を請求する傷病以外で、病院に通院しているのか、または、過去に通院していたことがあるか、通院歴を調べます。
障害年金を請求する傷病と、明らかに関係が無い傷病以外の通院歴を、すべて書き出しましょう。
②相当因果関係が有りとして、取り扱われることが多い傷病の組み合わせに該当するかを確認する。
該当する場合は、前に発病した傷病で初めて病院で診療を受けた日が初診日となります。
該当しない場合は、次の③の確認をします。
③相当因果関係が無しとして、取り扱われることが多い傷病の組み合わせに該当するかを確認する。
確認したら、次の④を確認します。
④上記の②と③に該当しない傷病の組み合わせだった場合は、前に発病した傷病と障害年金を請求する傷病に相当因果関係があるかを、診断書を書いてもらうお医者さんに確認する。
②相当因果関係有りとして取り扱われることが多い傷病の組み合わせ
個別のケースによりますが、相当因果関係が有りとして、取り扱われることが多い傷病の組み合わせがあります。基本的にこれから説明する傷病の組み合わせに該当する場合は、相当因果関係有りとして、請求手続きを進めていくことになります。
※糖尿病性とついたら、ほぼ間違いなく、糖尿病で初めて病院の診療を受けた日が、初診日となります。
※前に発病した傷病から長期間経過した後に、慢性腎不全となった場合でも、相当因果関係有りとして取り扱われます。
※結核の結核の化学療法による副作用として聴覚障害を生じた場合は、相当因果関係有りとして取り扱われます。
※手術などによる輸血により肝炎を併発した場合は、相当因果関係有りとして取り扱われます。
※ステロイドの投薬による副作用で大腿骨頭無腐性壊死が生じたのがあきらかな場合は、相当因果関係有りとして取り扱われます。
※事故または脳血管疾患による精神障害がある場合は、相当因果関係ありとして取り扱われる。
●交通事故による高次機能障害など
●脳梗塞による高次機能障害など
※肺疾患に羅患し手術を行い、その後に呼吸不全を生じたものは、肺手術してから長期間経過後に呼吸不全が発病した場合であっても、相当因果関係有りとして取り扱われます。
※転移性悪性新生物(癌)は、原発とされるものと組織上一致し、転移であることを確認できた場合は、相当因果関係有りとして取り扱われます。
③相当因果関係無しとして取り扱われることが多い傷病の組み合わせ
これから説明する傷病の組み合わせに該当する場合は、障害年金請求手続きにおいては、相当因果関係無しとして、取り扱われます。
※高血圧と脳出血は、医学的には因果関係があるのですが、障害年金の請求においては相当因果関係は無しとして、取り扱われます。
④前に発病した傷病と障害年金を請求する傷病に相当因果関係があるかを確認する
障害年金を請求する傷病の初診日より前に、通院している傷病や、過去に通院していたことがある傷病と、相当因果関係があるかを、診断書を書いてもらうお医者さんに確認します。
例えば、慢性腎不全で障害年金を請求する場合で、慢性腎不全の初めて医師の診療を受けた日より前に、高血圧で病院に通院していた場合・・・
診断書を書いてもらう病院で、高血圧が原因で慢性腎不全になったのかを、確認しましょう。
●高血圧が原因で慢性腎不全になった場合
高血圧が原因で慢性腎不全になったことがわかるように、診断書などの書類を作成してもらいましょう。
・高血圧の初診日証明(受診状況等証明書)を作成してもらう時に、腎臓の機能低下など、腎臓にも症状が出ていたことを記入してもらう。
・慢性腎不全の原因が高血圧であることを、診断書にきちんと記入してもらう。
・診断書の傷病名を高血圧性腎疾患にしてもらう。
など
高血圧の人が必ず腎疾患になるとは限らないので、高血圧と腎疾患は相当因果関係無しとして、取り扱われることも多いです。高血圧と腎疾患を相当因果関係有りとして、障害年金の請求手続きをする場合は、高血圧が原因で腎疾患になったことがわかるように、書類を作成する必要があります。
障害の原因となった傷病と障害年金を請求する傷病とに、相当因果関係があるように診断書などを作成しないと、日本年金機構の審査で相当因果関係無しと、判断される可能性があります。その場合は、初診日が変更になり、書類を作成しなおさないといけなくなったりします。
●慢性腎不全の原因が高血圧ではない場合
慢性腎不全の原因が高血圧では無いということがわかるように、診断書などを作成してもらいましょう。
お医者さんに、前に発病した傷病が原因で障害年金を請求する傷病になったかどうか、わからないと言われることがあります。(原因であると言えばあるし、無いと言えばないとか、微妙な回答されることもあります。)
お医者さんに相当因果関係があるのかどうか、わからないと言われた場合は、電話などで年金事務所にどうしたらいいかを相談して、個別に判断してもらいましょう。
では、お医者さんに前後の傷病の相当因果関係の有無がわからないと言われて、年金事務所に問い合わせても請求書(診断書)を提出してもらわないと判断ができないと言われた場合は、どうすればいいのか?
もし、私が障害年金を請求することになった時に、前後の傷病のどちらの初診日で手続きしたらいいのかわからない場合は、有利になる方を初診日として、障害年金を請求することにします。
例えば
●初診日によって、障害基礎年金と障害厚生年金と、請求する障害年金の種類が変わる場合は、障害厚生年金が請求できる方を初診日とする。
●障害年金の支給開始が早くなる方を初診日とする。
●保険料納付要件を満たす方を初診日とする。
●初診日の証明書が作成できる方を初診日とする。
といった感じで、有利になる方を初診日として、初診日の証明書(受診状況等証明書)や診断書は有利な方が初診日となることがわかるように、お医者さんに作成してもらいます。
ただし、自分が申立てした初診日が日本年金機構に認めてもらえないと、書類を作成しなおすことになったりします。そこは自分の請求手続きなので、自己責任で、請求手続きをしなおすことにします。(^^;)
病院や年金事務所で、相当因果関係の有無がわからなかった場合は、『有利になる方を初診日にする』のか、『認めてもらいやすい方を初診日』とするのかは、請求者の自己判断で決めましょう。(自分で判断するのは難しいとは思いますが・・・。)
なので、このような障害の原因となった傷病がわからない場合は、障害年金専門の社会保険労務士に請求手続きを依頼する方が、無難だったりします。障害年金専門の社会保険労務士なら、なるべく請求者が有利になるように、日本年金機構に相当因果関係の有無を認めてもらえるように、請求手続きをしてくれます。(社会保険労務士の能力や経験にもよりますけど・・・)
最後に
以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
障害年金請求手続きにおいて、傷病名と初診日は同時進行で特定していくことになります。障害の原因となった傷病名と初診日が特定できたら、障害年金請求手続きはスムーズに進んでいきます。
初診日がかなり昔だったり、複数の傷病で通院している場合などは、初診日や傷病名の特定が難しい場合もありますが、お医者さんや年金事務所の人に確認をしながら、特定しましょう。
年金事務所では、障害年金請求手続きの相談内容をパソコンやファイルに保存しているので、わからないことがあれば、電話でも教えてもらうことができます。わからないことがあったら、その都度、電話などで年金事務所に確認をしながら、請求手続きを進めていきましょう。