この記事では、年金をもらっている人が死亡した場合に、一定の遺族がいる場合に手続きが必要な未支給年金請求手続きについて、説明をします。
未支給年金請求手続きは、死亡した人と生計を同じくしていた一定の親族がいる場合は、必ず手続きが必要となります。
具体的に、だれが、どのように、手続きすれば、いいのか、わかりやすく説明します。
目次
未支給年金請求手続きとは
年金を受け取る権利は死亡日に消滅するので、死亡した月分まで、年金をもらうことができます。
年金は偶数月に前2ヶ月分が、後払いで振り込まれるので、死亡した場合、未払いの年金が発生する場合がよくあります。
この未払い分の年金を遺族がもらうための請求手続きが、未支給年金請求手続きです。
死亡した月分までの年金が、死亡者の口座に振り込まれ、未払い分が発生しない場合も、未支給年金請求手続きをしないと、死亡後に振り込まれた年金は日本年金機構へ返還しないといけなくなります。
そのため、年金をもらっている人が死亡した場合で、未支給年金を請求できる遺族がいる場合は、必ず未支給年金請求手続きが必要となります。
年金がもらえる人が、年金の請求手続きをする前に死亡した場合も、未支給年金の請求者が代わりに年金請求手続きをすれば、未払いになっていた年金をもらうことができます。
遺族がもらえる年金の給付は、未支給年金以外にも、遺族年金、寡婦年金、死亡一時金などがあるため、家族が死亡した場合は、年金事務所に手続きが必要か、電話で確認をしましょう。
未支給年金請求手続きの流れ
手順1:だれが、未支給年金請求者になるのかを、調べる。
手順2:年金事務所に電話をして、手続きに必要な書類を確認し、予約を入れる。
近くの年金事務所に、年金をもらっている人が死亡したので、死亡に関する手続きがしたいと、電話で用件を伝え、手続きに必要な添付書類について、聞きしましょう。
※死亡日、死亡した人と請求者の続柄、死亡した人の基礎年金番号を聞かれるので、調べておきま しょう。
未支給年金請求手続きに必要な添付書類を入手して、必要書類がそろったら、再度年金事務所に電話をし、予約を入れましょう。
手順3:手続きに必要な書類を用意して、予約した日に年金事務所に行く。
予約した日が来たら、年金事務所に行って、未支給年金請求手続きなど、死亡に関する手続きをしましょう。
未払い分の年金があれば、請求書を提出してから、3~4ヶ月後に請求者の口座へ、振り込まれます。
1だれが未支給年金を請求するのか
未支給年金が請求できる遺族は、死亡者と生計を同じくしていた3親等内の親族です。
請求者には優先順位があり、上位の請求者がいる場合は、下位の人は未支給年金を請求できません。
2生計を同じくしていたとは、どういうことか
未支給年金は生計を同じくしている遺族でないと、請求できません。(生計同一関係であることが必要)
死亡者と請求者の住民票の住所が同じならば、生計を同じくいていたと、認めてもらえます。
死亡者と請求者の住民票の住所が違う場合は、ある程度の経済的な援助があれば、生計を同じくしていたと、認めてもらえます。
死亡者と請求者の住民票の住所が違う場合。
- 請求者が配偶者または子の場合
生活費、病院や施設の料金などの経済的援助をしていれば、生計を同じくしていたと、認められます。
- 配偶者が配偶者または子以外の場合
生活費、病院や施設の料金などの経済的援助を、その援助が無かったら、生活に困る程度の援助をしていれば、生計を同じくしていたと、認められます。
経済的な援助はお金を渡していなくても、食事を作って持って行ってたり、日用品などを買ってあげていたり、ある程度のお世話をしてあげていれば、生計を同じくしていたと、認められます。
経済的援助と、死亡した人と請求者との間に、訪問や電話・手紙などで音信があったかによって、生計を同じくしていたかが、審査されます。
住民票の住所が違う場合、死亡者と請求者が生計を同じくしていたか、どうかは、生計同一関係に関する申立書を、未支給年金請求書に添付することで、証明します。
3生計同一関係に関する申立書について
死亡者と請求者の続柄によって、様式が違います。
次の3つの様式があますので、死亡者と請求者との続柄によって、添付する用紙を間違わないようにしましょう。
①配偶者および子用
②配偶者と子以外用
③事実婚用
4生計同一関係に関する申立書は、年金事務所に行く前に作成する
死亡者と請求者の住民票の住所が違う場合は、生計同一関係に関する申立書に、第三者の証明をもらう必要があります。
そのため、年金事務所に未支給年金請求書を提出に行く前に、あらかじめ生計同一関係に関する申立書に第三者の証明をもらっておけば、一度の訪問で手続きを終わらせることができます。
5生計同一関係に関する申立書の入手方法
生計同一関係に関する申立書の入手方法には、次のような方法があります。
①年金事務所でもらってくる。
②市区町村役場でもらってくる。
③年金事務所に電話して、郵送してもらう。
④日本年金機構のホームページから、ダウンロード する。
6生計同一申立書の記入の仕方
請求者が配偶者・子用
配偶者・子以外用
事実婚用
事実婚の配偶者が未支給年金を請求する場合は、住民票の住所が同じか別かや、同一世帯であるか、別世帯であるかによって、記入の仕方や添付書類が違います。
事実婚の配偶者が未支給年金を請求する場合は、年金事務所に電話して、記入の仕方や第三者証明が必要かなどを、個別に聞きましょう。
未支給年金請求書の提出先
未支給年金請求書は、年金事務所または街角の年金相談センターに提出します。
死亡した人が住んでた地域の年金事務所でなくても提出できるため、請求者が行きやすい年金事務所に、提出しましょう。
平成27年10月以降は、公務員共済や私学共済の未支給年金請求手続きも、年金事務所でまとめて手続きできるようになっています。
ただし、同じ共済年金だけにしか加入していなかった人は、年金事務所でまとめて手続きできない場合があります。
未支給年金請求手続きに必要な書類
①死亡者の年金証書と年金手帳
※複数の年金をもらっている場合は、もらっている すべての年金の年金証書を持参しましょう。
※紛失している場合は、無くても手続きできます。
※年金証書も年金手帳も無い場合は、日本年金機構から届いた改定通知書や振込通知書に、基礎年金番号が記載されているので、持参しましょう。
②死亡者と未支給年金請求者との続柄がわかる戸籍。
【例】
- 死亡者が夫、請求者が妻の場合は、戸籍謄本。
- 死亡者が親、請求者が子の場合は、子の戸籍。
※わからない場合は、年金事務所でだれの戸籍を取 ればいいのか、電話で聞きましょう。
③請求者の住民票(世帯全員分の記載があるもの)
※世帯主や続柄が省略になっていないもの。
④死亡者の住民票除票
※世帯主や続柄が省略なっていないもの。
2019年7月より、請求者のマイナンバーを記入すれば、③請求者の住民票と④死亡者の住民票除票の添付は省略できるようになっています。(未支給年金請求者のマイナンバーがわかる物が必要となります。)
★下記の場合は、生計同一関係に関する申立書が必要となります。
- 死亡者と請求者の住所が違う場合。
- 請求者が夫や妻、子以外で、住所は同じだが、別 世帯になっている場合。(世帯分離している場合)
※死亡者と請求者の住所が違う場合は、生計同一申 立書に第三者の証明をもらう必要があります。
⑤請求者名義の預金通帳。
※請求書に金融機関の証明印がある場合は不要。
⑥請求者の判子。(認印でかまいません。)
⑦年金事務所に行く人の身分証明書。
※代理人が手続きに行く場合は、委任状が必要とな ります。
未支給年金請求書の記入の仕方
※請求書は複写式で、2枚目が死亡届になっています。
1死亡者欄の記入の仕方
2請求者欄の記入の仕方
3㋔欄の記入の仕方
※㋔欄は死亡した人が、JR・NTT・JT及び農林共済組合から、年金をもらっていた場合に、記入します。
4㋖欄の記入の仕方
※㋖欄は、死亡した人と請求者の住民票の住所が同じだが、世帯が別世帯になっていた場合や、年金をもらっていた人が死亡したことにより、世帯主が変更になった場合に記入します。
5死亡届の記入の仕方について
死亡届は複写になっているので、記入の必要はないのですが、請求者の判子を押す必要があります。
死亡した人の年金証書を紛失している場合は、『イ』に〇をします。
※死亡した人に未支給年金請求者がいない場合は、この死亡届だけを提出します。
最後に
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
今は役場から死亡したという連絡が年金事務所に届くので、年金が過払いになることは、ほとんどありません。
役場で死亡の手続きをしてから、年金事務所で年金をもらっていた人の死亡に関する手続きをしましょう。